ひだまり暮らしが考える「衣食同源」とは

通常は「医食同源」と書くところ、ひだまり暮らしが考える「衣食同源」とは?

私たちが農ある暮らしの中で「食」と「草木染め」をどう捉えているのか?
まとめてみようと思います。

2020年早春。暖冬のためか、そろそろ薪ストーブを焚かない日が出始めたので、草木染めの煮出す作業をしています。

ずっと染めてみたかった「玉ねぎの皮染め」。

私たちは玉ねぎの種を蒔き、苗を育てるところから無農薬無施肥栽培しています。
その9か月間の玉ねぎ物語についてはコチラから。

「一物全体」という考え方があります。
その食物の「全体」をバランスよく食べるのが健康に良いとする考え方のことです。
穀物を精白しない、野菜の皮を剥かずに使う、根菜でも葉を用いる、小さい魚を丸ごと食べる…などを意味しています。

玉ねぎの葉っぱ、食べている球根部分(正確には鱗茎)、皮、根っこ。時には董立ちして花芽がつくこともあります。手にしているのは紫玉ねぎ。

マクロビオティックの調理法の中ではとても大切にしている考え方です。

ずっしり大きく育ってくれたまん丸玉ねぎ。9か月間の物語が詰まっています。

ひだまり暮らしは畑で種を蒔くところから育て、無施肥でありながら自然なものを土づくりに生かす循環を心がける中で、「食べものは命であること。私たちは食べた命に生かされていること。」を日々の食事を通して実感をしています。

そして一物全体は、食べることだけで実践するのではなく、例えば生ごみにするのではなく、コンポストで畑の肥やしにして土づくりを通して循環させたり、草木染めでも命のエッセンスを大切にすることができると、ひだまり暮らしでは考えています。

籾殻燻炭づくり。これも稲の一部である籾殻を土にすき込んでph調整に役立てるという、命を大切に生かしきる一物全体の実践です。

料理とは、ある命が他の命を生かすための「命の移し替え」の作業でしょう。

「お料理とはいのちの移し替えなんですよ。」 森のイスキア主宰 佐藤初女さんの言葉

また草木染めは、もとは薬草の汁を肌に塗り、包帯が染まったことが発祥だそうです。

つまり植物のもっている効能を皮膚を通していただくのだと考えれば、草木染めも料理と同じ命の移し替えなのだと感じています。

ひだまり暮らしの草木染めは、
藍の生葉染め(我が家の畑で種まきから育てます)
クチナシの実染め(冬の保存食たくあんを仕込む時に黄色い染料としても使う)
蓬染め(庭にある蓬で草餅をつくるときの煮汁で染める)
枇杷葉染め(冬のお手当のこんにゃく温湿布と一緒に使う)など、
どれも畑とつながり、「食」「衣」に関わる季節の手しごとです。
(身土不二の考え方にもとづいて、どこか遠いところの染料を取り寄せて染めることはほとんどありません。)

食べものの命を、身体の内側から頂くのが「食」、布に移し替えて身体の外側から頂くのが「衣」。
食も衣も、命を慈しみ、頂く命に感謝し、隅々までを大切に頂く一物全体の想いが源にあります。
だから「衣食同源」と言えるのではないでしょうか。

 

玉ねぎの皮を煮出して染めたストールは、ほんのり玉ねぎスープのような美味しそうな香りがします。染めている最中もいい香り♪

そして媒染の仕方で、オレンジ色に近い茶色と、カーキともいえる秋めいた黄色に染め分けました。

大切にお世話した玉ねぎを料理するときに「いつかは!」とコツコツ貯めてきた皮一枚一枚から、こんなにも美しい色をいただけること。
それを布に移し替えて、ずっと纏うことができること。
本当に本当に嬉しく、愛おしい命の移し替え。まさに衣食同源。

いただきます。
命をいただきます。
ごちそうさま。
ありがとう!!

Photo by Yasuyuki Hirose