きせつをたべる台所〈清明編〉

季節は春。4月初旬から中旬まで二十四節気では「清明」の候となります。

この辺りでは4月になると果樹農家さんの桃の花と、桜がほぼ同時期に満開を迎えます。特に桃の花は遠く街の方から桃色の絨毯が、標高の高い我が家に向かって日々歩みを進めてくるようです。2020年は4/13に淡雪が降り、翌朝には雪化粧の富士山と山並み、桃源郷の桃色の絨毯が共演した光景となりました!

この時期の畑はアブラナ科の董立ちが進み、菜花の黄色に元気をもらいます。2019年の冬が暖冬だったためか、土づくりが功を奏してきているのか、ホトケノザの花が春の彩りをより鮮やかに魅せてくれます。

まだ3月の頃。毎食のように菜花を摘んできて春の苦みを味わいました。

2020年の春、まだこの時期の畑には作物はほとんどありません。

でも暖冬のおかげで昨秋にこぼれ種から増えた小松菜(=菜花)やパクチー、ルッコラなどが越冬して春の食卓を彩ってくれました。

ある日の晩御飯。菜花のおひたしの海苔和え。玉ねぎと鶏むね肉の野蒜醤油炒め。お味噌汁とご飯。写真には写っていませんが、古漬けのたくあんを塩抜きしてきんぴら風に炒めたものも箸休めに。川尻製陶所さんの器とともに。

4月に入ると我が家ではジャガイモの植付けに向けて畑を耕耘し、土づくりが始まります。

同時に苗づくりのための種まきもお天気を見ながらコツコツと始めます。

こうなるとすでに畑にある作物も、耕耘に備えて畝を空けなければならなくなります。
例えば、菜花は種採りのための区画はそのまま残しながら、他のまだ食べられそうな菜花はさっと湯がいて冷凍した後に株を根元からこいだり、
冬越しした大根は全部収穫して切干し大根にするために干したり。

今年はこぼれ種でパクチーがあちこちに根を張り、耕耘前に点在しているのを掘り起こしました。あるものはびよ~ん!と長い根が。

せっかくのパクチーを長く保存しながら美味しくいただくために「パクチー油」にしてみたら、とてもアレンジの効く調味料になりました!

(ずいぶん)前置きが長くなりましたが(笑)「パクチー油」のレシピをご紹介します!

<材料>つくりやすい分量(上の写真は4倍量です)
□パクチー60g □にんにく3かけ □赤唐辛子3~4g □菜種油50cc □塩小さじ1/2
※パクチーは根が香りが強く、よく洗って根ごと使います。
※にんにく、赤唐辛子はお好みで分量を増減してください。
※菜種油はオリーブ油やサラダ油と置き換え可。

<手順>
①パクチー、にんにくはみじん切り、赤唐辛子は種を除いて小口切りにする。
②菜種油を中火で火にかけ、にんにく、赤唐辛子を加えて、焦げないようにへらで混ぜ、フツフツとしてきたら弱火にする。にんにくが少し色づいたら火を止める。塩を加えてよく混ぜ、パクチーを加えて予熱で火を通す。
④粗熱がとれたら清潔な保存瓶にいれて、冷蔵保管で約3か月日持ちする。
※パクチーの量に対して菜種油は少ないように感じられますが、予熱で火が通るとしんなりして馴染みますので安心してくださいね。今回は4倍量でつくって、このくらいの量に。

私は生のにんにくだと胃がもたれやすいのですが、加熱しているのでマイルドになり食べやすく感じます。またパクチーも生の香り(私は好きですが)が少しマイルドになるので香味油としていろんなアレンジが楽しめます。

パスタや、蒸かしたじゃがいもに和えたり、うどんにからめたり、蒸し鶏にかけてみるのも美味しいです。また食べるラー油のようにホカホカご飯にかけても美味しいですよ!

冬越ししたキタアカリにからめてからオーブンで焼いたら激旨でしたー♪

農ある暮らしの台所は、畑の旬と追いかけっこです。その時期に豊富にある畑の恵みをいかに長く保存し、余すところなく大切に、日々美味しくいただくための知恵に満ちています。

二十四節気「清明」の次は「穀雨」の候。ひと雨ごとに芽吹きが生き生きとし、植物たちがぐんぐんと成長する頃です。

野草では蓬や野蒜が美味しい頃になります。また<清明編>のレシピでお会いできたらいいですね♪

清明の候、ひだまり玉ねぎたちはこれくらい!