きせつをたべる台所〈穀雨編〉

二十四節気【穀雨】は、菜種梅雨のようにたびたび降る雨が、作物にとって恵みの雨となり、ひと雨ごとに植物たちはぐんぐんと成長する頃です。

我が家の苗床も朝夕に被せてあるシートを開け閉めしますが、朝には朝露がキラキラと朝日に輝き、生命の瑞々しい生命力に元気をもらいます。

苗床は西の畑にあるので、西日を浴びて輝くさまも美しいです。つい苗たちを撫で撫でしてしまいます。

2020年の4月は中旬から朝晩に冷え込む日が多く、暖冬の影響がどんな風に現れるかと心配していましたが、例年よりも種の発芽などがゆっくりとなりました。

山々の新緑も日に日に鮮やかさを濃くしていきます。

我が家から北東方向の山。新緑が青空に映えます!

また、庭のモミジの新緑が今年はことのほか鮮やかに感じられます。
定植して3年が経ちました。やっと根が土に馴染み、根付いてくれたのか、葉が昨年までより大きく、より繁ってくれて、とても嬉しいです。
コロナ禍の渦中にあり、つい重く塞ぎがちになる気持ちを本当に慰め、癒し、元気をくれました。ありがとう!

今年は花盛りのタンポポで「タンポポ油」を仕込みました。腰痛や肩こりに効くマッサージオイルになるそうです。

毎日かき混ぜながら約4週間で仕上がります。二十四節気【小満】の候に完成予定です。(〈小満編〉でレポートできたらいいですね)

タンポポは、種を遠くまで飛ばしてどんどん繁殖してしまうので厄介者扱いされがちです。それでもこんな風に活かし、その恩恵を有難く暮らしに取り入れられるのは本当に嬉しいです。

どんな命もできる限り活かし、そのお礼にまたその土地をお世話する…そんな里山の暮らしの知恵をたくさん実践していきたいです!

また今年は蓬を太白胡麻油で煮出して成分を抽出する「蓬油」も初チャレンジしました。簡単だけど、とても良い香りがするマッサージオイルになりました。ハンドクリーム代わりに毎日使っています。

 

さぁ、今回のレシピは蕗です!

我が家の庭に根付いてくれた蕗がやっと葉を大きく茂らせる頃となりました。

実は蕗を収穫し、下処理をするのは初めて。

初めてなので塩梅がわからないので、一度に全部収穫するのではなく、ひとまず長く太い蕗からはさみで収穫しました。

葉を除いて、茎の部分だけをまな板の上で塩で板摺り。

その後、我が家で一番径が大きい鍋がフライパンだったので、フライパンで3~5分茹でたら、氷水で冷やして色止めを。

なるべく径が大きい鍋だと、その後の筋取りが一度に長くいっぺんに剥けるので楽です。径が小さくて蕗の本数が多くなってしまうと、筋取りが「修行」になっちゃいますねw←これが今回のレシピで唯一のコツです!

筋取りは、片方から少しずつ剥いたのをまとめて引き抜きます。一本一本を剥くよりも早くて、気持ちいい!

初めてなので、どこまで剥くのが正解なのかわからず。でも食べてみたら、特に筋が残っている感じはなくて大丈夫でした。←この初めての手探りな感じも、振り返ってみれば「この時」だけの体験なのですね!

筋を取った後の透き通った翡翠色がとても美しくて、しばし見惚れました。

シンプルに煮つけに。水、醤油、みりん。油揚げからでる出汁。

薄口しょうゆがあれば、もっと翡翠色が残ったかもしれませんね。調味料がシンプルなので、蕗の歯ごたえと春の苦みが引き立ち、とても美味しく、嬉しくいただきました。

農ある暮らしの台所〈立春編〉で蕗味噌として頂いた蕗の薹。

〈穀雨編〉では茎の部分を煮つけて。実は葉の部分も食べられるそうで、濃い目の味付けて佃煮風にしてみたら…茎の方だけで我が家は十分でした。

(かなり灰汁が強いので、たくさん食べられず。一物全体も大切だけど、美味しく食べることも同じくらいに大切にしています。→無理はしない!)

どこから種がとんできたのかレンゲがあちこちに咲いています。黄色い花は蛇イチゴの花。今年も虫刺され用にチンキにします。

自然界の植物や動物たちのふるまい、空や山などの景色から、作物の種まきや植付けなどの農作業の時期の目安にする二十四節気や七十二候の暦とともにある暮らし。

自然の恵みを欲張らず、無理をせず、楽しく、美味しく頂き、そのお礼として大地のお世話をする循環のある暮らし。

さぁ、次は〈立夏編〉ですね。どんなレシピが待っているのか、私も楽しみです♪

いただきます。
命をいただきます。
ごちそうさま。
ありがとう!