【レポート】暮らしの手しごとの会〈藍の生葉染め〉2021

2021年の藍の生葉染めも9/12の会をもって染め納めました。

コロナ禍の緊張緊迫した状況の中でも、感染症対策にご協力いただきながらご参加くださったみなさんには、心から感謝申し上げます。

7/28試し染めの時の藍。

毎年、一番最初の会の前に私達が試し染めをするのですが、今年は7/28に行いました。

藍は、昨年も成長がゆっくりでしたが、今年はより一層ゆっくりで、お世話の仕方を毎日藍の様子を見てはあれこれと工夫しながら、染めの会に間に合うのだろうかとヒヤヒヤし、なかなか開催の日程をお知らせするのも躊躇われるほどでした。

試し染めの時にこれほど小さく、か弱く見えるほどの藍はこれまで栽培してきた中で初めてでした。

でも、いざ始まって染めてみると…

本当に本当に美しく透明感のある、まさに夏の空と同じ夏空色が現われました。

ちゃんと色が現われたことに胸を撫で下ろしながらも、ゆっくりながら育った藍の生命力と命の神秘に感動しました。

緑色の葉っぱから、緑色の染液が作られて、布が緑色から水色が現われるその瞬間!
初めての方も新鮮に驚いて感動し、何回も染めた方も感動を新たにされます。
私達もこれまで何度見たか数えきれない程なのに、やっぱり毎回毎度新鮮に感動しました。
そして会の終わる頃には、本当にみなさんが笑顔で、生き生きと、元気な表情をされていたのが印象的でした。親御さんがすでに成人された娘さんと、娘さんがご両親と、ご夫婦で、大切な人と「今年は一緒に来たかったです」と参加してくださいました。

お孫さんの小さなTシャツを染めた女性は「来るのが少し不安だったけど、本当に来てよかったわ。なんだか元気になった感じ」と話してくださったのが忘れられません。

ひだまり暮らしの企画「暮らしの手しごとの会」というカテゴリーで開催している藍の生葉染めは、絞りなどの技術の高さ巧さや色の濃さを求めにいくことは、染めの一要素として大切にはしても、目的とはしていません。

我が家らしい生葉染めは、日当たりと水に恵まれた条件の畑で藍が育った過程もお話して、自ら藍にはさみを入れて収穫し、手間をかけて自分の染液を作ります。

そして染め終わった後の一見ゴミのような葉っぱの絞り滓や茎を、刈り取った藍畑の土に撒いて還します。

藍の生命力に素手で触れることで、命と命は呼応しあい、元気を交感しているのかもしれません。畑で育つ命とのふれあいに喜びを感じたり、発色の神秘に心からワクワクして元気になったり、暮らしの中にささやかでも喜びや豊かさが感じられることを、何より大切に思います。

ゆっくりながらも育ち続けた藍が見せてくれた色に、参加者のみなさんの明るい表情と感嘆の声に、主催者の私達の方が励まされ、元気をいただきました。
「与えているようで、与えられている」という双方向の眼には見えない温かな「何か」を交わし合えた2021年の生葉染めでした。

ご参加くださったみなさん、本当にありがとうございました!

そして「来年も絶対参加したいです」と楽しみにしてくださっていたのに、様々にご配慮くださりお会いすることが叶わなかったみなさま、お互い元気で来夏お会いできますように!

今年も藍の種を大切に採り継ぎ、また一緒に染めることを思い描きながらお世話する季節を備えたいと思います。