4月中旬に益子の川尻製陶所さんを再訪しました。
直販市を控えた窯出しでタイトなスケジュールの中、貴重なお時間をいただいて、登り窯から出したばかりの器たちを見せていただきました。
今年2021年1月に塩壺を中心に郵送していただいたのですが、お互いのスケジュールが合うのであれば、やっぱり川尻さんに直にお会いして、私たちの眼と手で器を選ばせていただきたいと思っていました。
川尻さんとなんとか都合を合わせることができ、その機会をくださってありがとうございました!
登り窯の前に整然と並べられた塩壺と砂糖壺は圧巻の光景でした。

時折雨が静かに降る中、鶯が軽やかに唄い、それでいて力強く圧倒されるような、
窯の温度もしっかり下がっているのにも関わらず炎の記憶を留めているような空間と川尻さんの佇まいは、
あの場でしか感じることができない空気感でした。
この青いお皿は昨夏、酷暑のため暑くて暑くて食欲も台所に立つ気力もなかった時期に、販売のためのラインナップから自宅用に迎えた一枚です。この器に盛りつけるのが嬉しくて、どんなに簡単なものでも料理を頑張ろうと思えたものです。
川尻さんの塩壺に一日に何度触れているでしょう。素焼きの益子の土特有の肌触りは、どこか畑の土を触っている感覚に似ています。菜花を入れる竹ざる、すりこ木や調理ヘラの木肌と自然の素材同士はとても相性が良く、触れているだけで心地良く、安心感さえあります。

川尻さんの過去の言葉に「“器は命を盛る道具である”という良い言葉に出会った」とありました。
「植物や動物が命を終える最期に「命をありがとう」という感謝の気持ちが少しでも伝わるような器を作りたい、そんなことを考えながら器を作っている。」(川尻製陶所ブログより)
私たちは基本自給のためのお米と野菜、味噌づくりのための青大豆を田畑でつくっています。
種を蒔き、芽が出て喜び、晴れすぎても降りすぎてもハラハラし、無事に収穫できることの安堵と感謝を感じながら、畑から真っ直ぐに台所でその生命力をいただいています。
食べるものは動物も植物も命そのもの。包丁を入れる瞬間の背筋が伸びるような感謝の気持ちは薄れることのないように在りたいと思うのです。
畑で収穫して、台所で料理して、食卓へのせるその時に、「命をありがとう。いただきます」という思いで作られた器に盛りつけたくなるのは、心よりも手が自然と器を選ぶようです。


川尻さんも昨年は畑を新たに借りて、菜種油にするための菜花をつくったと話していました。
「種を蒔くタイミングはなかなか忙しい時期で、芽が出ても草に負けちゃったり、気温が低くて大きくなるのが遅かったりして…難しいですねぇ」と話されて、私たちも深く頷きながら畑の大変さと喜びを共感しました。

食べるものは命そのものであることを、器に触れるたびに作り手の想いが思い出させてくれます。
だからきっと、畑をする人や台所に立つ人、命を愛する人は川尻さんの器に惹かれるのは自然なのでしょう。

今回も一つ一つ手に取って、心底惹かれる器たちを選んで来ました。
我が家はお店にはしていませんが、今後はマルシェなどへの出店とかで器の紹介や販売もしていけたらなぁと考えています。
「畑とつながる台所」など我が家で企画する畑と食の会にご参加いただいた際には、是非お手にとって見て見てくださいね!
それはきっと時空を超えて、作り手と対話するようなひと時となることでしょう。
またお近くの方でしたら、気軽に見ていただけるタイミングもご相談できるかもしれませんので、直接メッセージくださいね♪

昨年に引き続き益子の陶器市は開催中止となり、川尻製陶所さんの直販市を開催したそうです。
また益子の作り手さんが集まったWEB陶器市も開催され、オンラインショップから購入することもできるそうですよ。
第3回益子WEB陶器市(2021春)2021年4/29(木)~5/9(日)
オンラインショップはコチラ
長くお気に入りの相棒を直接手に取って選ぶのが一番の喜びですが、作り手さん達が器をお届けするために苦心なさっています。有難いことです。
我が家もその末席にささやかながら加えてもらって、お気に入りとの出会いのきっかけとなりますように。