夏空を染めた藍の生葉染め2020

「その日の空と同じ色に染まります」

私たちが藍の生葉染めで度々ご案内したフレーズ。

2020年も様々な夏空が染め上がりました。

暮らしの手しごとの会
1dayヨガリトリート
暮らしの手しごとの会<プライベートレッスン>

新型コロナウィルス感染症防止対策にご協力いただきながら、少人数の開催が続きました。

2020年は長引く梅雨の長雨と日照不足、梅雨明けの猛暑と水不足という過酷な天候の中、藍は本当にゆっくりな成長で、生葉染めの会が開催できるかどうか例年以上に気をもむ毎日でした。

試し染めの時のまだまだ小さい藍。

その夏、全ての会に先駆けて私がまず染めてみることにしている試し染めで、本当にか弱い藍から色が現われた時には、どんな過酷な状況でも生きることを諦めない藍の生命力に心から感動し、励まされ、気づかされました。

この試し染めの時に染めたマスクは、この時感じたことをいつも思い出させてくれるお守りのようなアイテムになりました。

私たちが開催する藍の生葉染めの会で、何よりお伝えしたいことは「命あるものへの理解とリスペクト」でした。

 

藍が畑に生きている様を観察し、自分の手で収穫し摘みとり、染める液をつくり、色が現われる様を見届ける。

その新鮮な感動と驚きは、命の神秘に触れ、藍を知り、命を大切に思う気持ちにつながっていく…。

染めることを通して、そんなことを感じとっていただきたいと願いながら開催してきました。

昨年染めたストールを再び藍の生葉染めで染め返した方がいました。

ほとんど着ることがなくなっていた白い服が、自分で染めることで一番のお気に入りの服になったと喜んでいた人がいました。

今夏はマスクを染めた人も多かったですね。なかなか馴染めなかったマスクが、とてもお気に入りになったという人もいました。

2020年7月からはレジ袋が有料になり、エコバッグを自分で染めたら毎日のように使っていますという人もいました。

前年までに染めたものを身につけたり、持参して参加してくれる人もたくさんいました。

染めたシャツに顔を寄せて、藍の匂いを嗅いでいる光景。

持ち帰った後しばらく、藍の匂いに包まれて嬉しかったという感想を聞かせてくれた人もいました。

まさに「色が生きている」と思わせてくれる藍の命の神秘に魅せられ、感動したその先には、藍の色と、命を移し替えた布を、愛で、大切に思う眼差しと仕草に満ちていました。

その日の空と雲が、二度と同じに現れないように、藍の水色もその日その時により様々でした。

自然には、命には、唯一無二の個性があり、そのどれもが尊いように、藍の命の色にも濃い薄いでは決して計れない唯一無二の個性がありました。

天然の染料となる藍は、畑の土が育んだ植物です。

布となる綿や麻なども土が育んだ植物です。

藍で染めた布を身につけたり、使うことは、それを育んだ土と間接的につながること。

自分の五感を通して、収穫から染め上がりまでを体験するからこそ、畑の土を離れてもなお、畑とつながる感覚になれるのだと感じます。

葉の絞り滓と残った茎を畑に還す作業は、参加者のみなさん全員にその意味をお伝えして、みんなで一緒に撒きました。

土から生まれ、土に還る命の循環。その循環をめぐらせるお手伝いを人の手がすること。

この作業だけでも多くのことを感じ、気づかせ、学ばせてくれるように感じています。

コロナ禍という未曽有の事態にあって、リアルに体験をすること、人とリアルに集うこと、生きることの大変さと尊さ、自然と人の関わり方…など、
多くのことを考えさせられ、見詰め続け、変容を迫られた状況だからこそ、自宅を会場としてひらく覚悟をおしてなお価値あることだと、私たちは再確認できた2020年の藍の生葉染めの会でした。

「また来年も、絶対に参加したいです」

未来に楽しみをもつことは希望です。希望があるからこそ、毎日をポジティブに暮らしていくことができます。

藍に触れ、藍の命をいただき、移し替えた命を愛で、時間と場所を超えて畑の土とつながること。

そんな感動と希望に満ちた体験を、来年もたくさんの人に届けるために、私たちは今日も畑に立ちたいと思います。

藍の畑へ水を引いています。このお世話する「手」があってこそ収穫の時を迎えられます。
花芽が上がってくると、生葉染めの季節もそろそろおしまい。種を採り継ぎ、来年に命をつなぎます。

逞しく生きた藍たち、本当にありがとう!

ご参加くださった皆さん、ありがとう!

また来年、元気にお会いできますように。

※来年2021年の藍の生葉染めの会は、SNSで日程などのお知らせをさせていただきますので、instagramやFacebookページを是非チェックしてくださいね♪
instagram→https://www.instagram.com/hidamari8787/
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Photo by Yasuyuki Hirose