きせつをたべる台所〈立秋編〉

夏の土用が明けて、立秋を迎えました。2020年の立秋は8/7からスタート。

毎年、本当に不思議なのですが、立秋を迎える前後からトンボが群れるように飛び交うようになります。今年も立秋を迎える前日から一気に飛び交い、暦よりひと足先に秋の気配を教えてくれました。

振り返ると今年の立秋の候は、連日ものすごい酷暑でした。

大暑には長雨でどこか梅雨寒が続き、立秋になってからまさに「残暑」が続く、記憶と記録に残る夏だったように感じます。

長雨の時には日照不足で、猛暑の時には水不足。田畑の作物にとっては試練の天候が続きました。稲はどれほどの影響が出るだろうかと心配でしたが、ほぼ例年通りの出穂の時期となり、安堵と喜びもひとしおでした。

いきなりの酷暑続きだったので、梅雨明けまでなかなか収穫ができなかったジャガイモを掘るのが、今度は熱中症の危険を避けるために、日の昇る前からの作業となりました。

いざ収穫してみると、長雨を土の中で吸収しすぎて腐ってしまっているものや、割れが入ってしまったもの、日陰で乾燥させても水分過多のためにすぐ腐ってしまう等々…体力消耗激しい中で一生懸命収穫しても廃棄する量が多すぎて、虚しくなったり、切なくなったり、やるせなかったり…一日一日の心と身体の疲労感が大きかったです。

この時期、私たちはオンラインショップで「夏野菜セット」の販売をしていました。
(ひだまり暮らしオンラインショップはコチラ

コロナ禍にあって、ひだまり暮らしの様々なプロジェクトの開催をキャンセルせざるを得ない状況になり、ひだまり暮らしの活動の補完的な位置づけとしてオンラインショップを開設しました。
宅配農家さんの何分の一、何十分の一かの小さな小さな規模でしたが、農家さんのご苦労が本当に身に染みて実感されました。
だからこそ、私たちが感じたことを良い面だけでなく、大変なことや苦労の面もありのままに発信することで、農家さんの(それでもほんの一部分ではあるけれど)現状に思いを馳せる一助になれればと感じました。
ですので、敢えて傷や痛みのあるジャガイモの写真を使い、農産物と気候危機の現状をお伝えしました。

梅雨の長雨ですっかり土が締まり、水不足でさらに土がカチカチに固まってしまったので、中耕をして、青大豆の根元へ土寄せをしました。

根付くのか心配された畑の青大豆も、立ち枯れするものもありながら、何とか成長しようとする命の逞しさを感じました。
この朝の光景は、青大豆の健気さや逞しさが神々しくさえ感じられた忘れられない光景です。
同じ大地の上で生きる命として、どれだけ励まされ、エネルギーをもらったことでしょう。

夕焼けや夕立後の虹、朝の田んぼの水見で眺める朝日…自然現象からも本当に元気をもらいました。

ジャガイモ畑だった場所を秋冬野菜に向けて耕耘しています。土がカラカラに乾燥しているので、ものすごい土埃!
梅畑の草刈り。毎日毎日草刈りしても、草の勢力半端なく、どんどん茂ってしまいます(汗)
畑のまわり「畔」の草刈り。畑の面積が小さいほど、この畔部分が多いことになり、傾斜地にある小さい畑は草刈りばかりしています。

でも、農村や里山の景色というのは、土を耕し、草を刈り、お世話をしながら維持管理する人の営みがあるからこそ。
人の手つかずの「大自然」と、農村の「自然」との違いが、そこにあります。

我が家の目の前には手が入らずに藪になっていく耕作放棄地や、草刈りの労力がかけられず除草剤で不自然に真っ茶色になった場所がたくさんあります。
無農薬や除草剤を使わない農家さんの甚大な手間暇によって維持され、土壌汚染や水質汚染から守られている自然環境。
そういう農家さんを応援することは、その自然環境の維持にも貢献していることにつながることを、ささやかながらも私たちの活動を通して発信していきたいと思います。

日本人の原風景とさえ感じる田んぼの景観は、人の手が作り出したもの。お米づくりをする人がいなくなれば、この光景は失われていきます。

我が家の夏野菜。

今夏の酷暑は本当に身体に堪え、台所で料理をすることがとてもしんどく感じました。

大量に汗をかくため、麦茶の消費量が半端なく、ある時あまりの怠さに水分を摂っていても塩分が足りていないと感じ、以来、赤梅酢を麦茶に混ぜて飲むようにしました。

また、お味噌汁を作るのもしんどく感じたのですが、加熱時間を短くし、常温に冷まして飲んだり、味噌を減らして醤油を足してみたり。(これも塩分の摂取量に関係していたのですね)

旬の夏野菜を食べるだけでは体調管理が追いつかない実感から、今後季節によって料理する方法を勉強し直したいと考えています。

「きせつをたべる」ようにして毎日のおうちご飯をつくること。
何を、どのようにして食べるのか?

土から、食べるものの命から、自分の体感から、教わりながら進化していこうと思います。