きせつをたべる台所〈小暑編〉

2020年の小暑の候は7月7日よりスタートしました。
小暑とは、梅雨明を迎えて、本格的に夏が訪れる頃のこと。

2020年の小暑は本格的な夏の暑さを実感できたのは、ほんの数日で、
停滞する梅雨前線がもたらす集中豪雨で西日本では災害にもなっています。
梅雨前線が災害につながるとは、本当に地球規模の気候危機を肌で実感します。
だからこそ、雨上がりの陽の光や垣間見える青空にどこか希望を感じずにはいられませんでした。

藍も明らかに日照不足で、成長がゆっくりです。

7月中旬からはじゃがいもの収穫です。
この梅雨の長雨で、畑の土があまりにぬかるみ、収穫がなかなかハードです。
近隣の果樹農家さんも家庭菜園のじゃがいもが掘れないと嘆いていました。
芋が水分を吸収しすぎるため、土の中で腐ってしまうものや表面があまり良い状態ではありません。掘った後にしっかりと陰干しして乾燥させないと傷みやすいです。

料理しながらあまりの美しさにしばし見惚れることがあります。過程を見れるのは作り手の特権ですね♪

自然の色の美しさ!4品種のカラフルじゃがいもと、我が家の胡瓜と紫たまねぎ。

種を蒔き、苗を植え、日々育つ命の営みに喜び、収穫の手ごたえに感謝します。
その食べ物に包丁を入れるときには自然と背筋が伸び、「命をいただきます」と感謝を伝え、色や形に見惚れます。
料理って、命に直接触れることであり、それを育む土やお日様や雨などの自然界に間接的に触れていることなのだなぁと実感します。

川尻製陶所さんの器に盛りつけて。作物の一番最初に収穫して料理したものは自然と川尻さんの器に手が伸びます。

雨が多いことの恩恵を全身で喜んでいるような紫陽花たち。今年はこの水色のグラデーションにどれほど癒されたことでしょうか。

挿し木から育てた紫陽花なので、その美しさも喜びひとしおでした。

特にキッチンに飾って、毎晩ヘトヘトで料理する気持ちを本当に和ませてくれました。ありがとう。

小暑の候に含まれる7月10日は、我が家の周辺では青大豆の種まき適期です。

今年は雨が多いために、畑の土が乾く間がなく、耕耘機を入れることがなかなかできません。(土が耕耘機の刃にべっとり詰まってしまうためです)
ですので、畑の準備がままならず、種まきが適期にできないという状況です。
夫は青大豆を栽培して10年以上になりますが、適期に種まきができないのは初めてのことだそうです。

こんなところにも気候変動のリアルな影響を感じます。

適期には種まきができないと判断して、育苗に切り替えました。約3000粒の種をトレーに蒔きました。

トレーを急遽購入し、畑の土を入れ、種を蒔きました。そしてこれを畑に定植します。畑に種を直蒔きするより手間がかかります。

我が家の自給分の味噌用大豆はすでに直蒔きした分で賄えるため、これは全て味噌仕込み会用になります。味噌仕込みの時期には気兼ねなく参加してもらえるような状況になっていますように(祈)

ずっとタイミングを見計らっていた梅干し用の赤紫蘇。
昨秋に近所のおばあちゃんから種を分けていただいた赤紫蘇。2020年はその赤紫蘇で梅干を漬けるのが目標でした。
ですので、いよいよやってきたタイミングに腕まくり!!

すでに梅酢が上がっている梅漬けが約30㎏近いので、赤紫蘇も大量に必要です。
ですので、根こそぎ収穫するのではなく、摘心するように収穫して、脇芽をさらに伸ばして2段構えにします。

葉が大量なので、キッチンペーパーや布巾で水分を拭き取る手間を省きたく、
茎ごと洗い、束ねて振り回して(笑)遠心力で水分を飛ばし、茎から外したら平ザルに広げてさっと乾燥させます。ですので梅雨の晴れ間のタイミングを待っていたのです。陽ざしに赤紫が映えて、やっぱり見惚れちゃいます。

塩で揉んで灰汁を除きます。やり方については白ごはん.comさんのレシピを参考にしています。この灰汁の色がなんといっても美しい!!

毎年、キッチンの排水口に流れていく様を眺めながら、「きっと染まるに違いない…」と思っていたので、今年はたまたま下処理した手ぬぐいがあったので染めてみました。

むふふ♡染まったーーー!(万歳)
たぶん洗濯するとかなり色落ちする、とても儚い色ですが、しばし使わずにただ眺めていようと思います(笑)

おばあちゃんから種を分けてもらった大切な赤紫蘇が、毎年捨ててしまっていた美しい色が、こうしてつかの間でも布の中に留まってくれていることがたまらなく嬉しいのです。

記録的な日照不足となった小暑の候。梅雨明けはまだ当分先になりそうな気配です。

毎日湿度たっぷりの梅雨寒に体調管理も難しい。

小暑の末候には夏の土用入り。夏と秋の季節の変わり目で、次の季節に向けての準備をする土用期間ですが、夏の実感が全く感じられないままに小暑が過ぎゆきました。

次は大暑の候。さすがにお日様が恋しいのは人も作物も同じですね。