きせつをたべる台所<小満編>

二十四節気【小満】の候は、草木や虫などの生命の気がだんだんと満ちてくるころです。

ジャガイモの花。品種によって花の色が異なるのも面白いです。 芋に栄養がいくように、花は咲いている時に摘みとります。ちょっと苦手な作業…

5月下旬にも関わらず夏日になる日もあり、富士山の冠雪がどんどん溶けていきます。山の色とあわせて初夏の富士山らしい。

種まきや苗の定植が一通り一段落し、「小さく満足する」という説もあるそうです。

6/2 さつま芋の苗の定植。畑を耕耘して、黒マルチをして、苗の定植。定植までの作業とお天気の関係で、定植まで終わると一安心します。

なんといっても小満の頃はお田植えまでの工程と、お天気や仕事との兼ね合いを見計らってお田植えの算段があり、育苗した苗が無事に田んぼに植えられると大きく安堵します。

まさに「小さく満足する」タイミングです。

あちこちの草がどんどん伸びてくるので、毎日草刈り作業です。

梅畑も下草を刈りながら、梅の実がぷっくり膨らみ、いつ梅しごとのタイミングがきても大丈夫なように、保存瓶や氷砂糖などの材料も準備を始めます。

 

そして今年はなんと桑の実が大豊作!毎年落ちるに任せていたのですが、今年はとてもプリプリな実が多く、初めて収穫してジャムにしてみました。

砂糖(きび砂糖使用)は実の重量の2割とかなり控えめにも関わらず、甘くて風味が豊かで、びっくりするぐらい美味しかったです!

 

なんといっても新玉ねぎの収穫はこの頃から!

まだ葉が緑色でピンと立っています。この黒マルチから白いまん丸な肩が並ぶ光景は、もう本当に嬉しい!!

まだ葉が若い時期は、まるで長ネギの葉のように甘くトロリと美味しいので、「あぁ、そろそろ玉ねぎの葉っぱが食べたいなぁ」と畑を眺めます。

塩だけで味付け。舞茸などのきのこ類とよく合います。

どちらも川尻製陶所さんの器。初収穫したときは自然と川尻さんの器に盛りつけたくなります。

水にさらさず、空気にさらして、オニオンサラダ。鰹節と醤油のみ。
玉ねぎご飯、玉ねぎのお味噌汁、玉ねぎの葉っぱの炒め物、玉ねぎの葉っぱのオムレツ風。玉ねぎ尽くしで幸せです!

本格的に玉ねぎの収穫まではあと半月後ですが、新玉ねぎでも待ちきれずに玉ねぎご飯を作りました!甘くて甘くてトロリとした絶品ご飯で、思わず目をつぶって噛みしめました。

【玉ねぎの炊き込みご飯】
〈材料〉
白米2合
玉ねぎ約300g
水400cc
塩小さじ1/2
昆布5センチくらい
オリーブ油適量
粗挽き胡椒適量

〈手順〉
①お米は洗って浸水しておく。
②玉ねぎは粗みじん切りにする。
③水に塩をよく混ぜ、お米の上に昆布→玉ねぎの順に重ね入れて、炊飯する。
④炊き上がったら昆布を取り出してよく混ぜ、オリーブ油を回し入れ、粗挽き胡椒を振る。
*昆布の代わりにコンソメも可。
*オリーブ油の代わりに胡麻油も可。
*炊飯の水分量は玉ねぎの水分を考慮します。玉ねぎの量、お米の含水率、炊飯器によって変わるので、お好みの炊き上がりを探してみてください!
*冷めたら炒飯やケチャップライス、おにぎりなども美味!

簡単ですが、本当に本当に美味しいです!ポイントは玉ねぎの水分量を考慮して、通常よりも少し減らした水分量です。玉ねぎの甘みが引き出されて、粗びき胡椒と良く合います。お代わり必至ですよ~

2020年5月中旬からの小満の候では、未だ新型コロナウィルスによる混乱が続いています。緊急事態宣言が解除になり、「新しい生活様式」というのが提唱され、新しい価値観に向けて、少しずつ人々の営みが動き出しつつある状況です。

みんながみんな、未曾有の事態に必死に模索し、試行錯誤を重ねながら歩みを進めようとしています。

私たちひだまり暮らしもオンラインショップを開設し、新しい試みをスタートさせながら、日々の暮らしや畑の営みを自然の、季節の歩みに沿って進めています。

畑を通して食を見つめ、食を通して社会や世界を見つめています。

その中で私たちにできることは何か?問い続け、見極め、小さくとも歩みを進めていこうと思います。

さぁ、次は〈芒種〉の候。どんな景色と、どんな命の営み、どんな旬のお料理が待っているのか、私も楽しみです!

【追記】これまで「農ある暮らしの台所」というタイトルで、二十四節気に合わせてシリーズ化してきましたが、すべて「きせつをたべる台所」というタイトルに変更・統一しました。