きせつをたべる台所〈立春編〉

二十四節気のスタートである立春を迎えました。

2020年は暖冬で、昨年末からオオイヌノフグリやホトケノザなどの春の野の花が咲いていたり、積雪の回数や量が明らかに少なかったり。

それでも季節は確実に歩みを進めているのを、日々空や雲の様子、植物の変化や野鳥などの振る舞いから感じます。

農ある暮らしでは、そろそろ新年度の畑の作付計画を決める頃。

まだ固い蕾をつけているハナミズキの木の下に、我が家の蕗がやっと根付き、昨年末から顔をのぞかせていた蕗の薹を楽しみにしていました。

立春を迎えて、晴れ晴れと春の空気を深呼吸したら、「よーし、蕗味噌作ろう!」という気分になりました。

【ひだまり暮らしの蕗味噌レシピ】
〈材料〉
□蕗の薹 約100g □菜種油大さじ1 □味噌大さじ4 □みりん大さじ1 □きび砂糖小さじ2
※蕗の薹はできるだけ蕾がいいです。あまり花が開ききってないものを選びます。

〈手順〉
①蕗の薹を洗う。採りたてでないときは15分間ほど水に浸けておいても良い。
②味噌、みりん、砂糖をよく混ぜておく。(調味料を混ぜるときはすり鉢が重宝しています。普段は調味料ごとに分けだりせずに、すり鉢に計り入れています。)

③蕗の薹の苦みが好きなので、我が家では灰汁とりのための下茹ではしません。みじん切りするそばから灰汁で変色していくので、みじん切りする前にフライパンを加熱し始めます。

④蕗の薹を手際よくみじん切りに。切りながらフライパンに移し入れて炒める。

⑤全体的にしんなりするまで炒めます。この時の香りに春を感じます♡

⑥混ぜ合わせてある調味料をフライパンに加え、全体をよく馴染ませる。

⑦密閉容器に移し入れて、完成。冷蔵保存で1ヶ月保存が可能だそうです。←我が家ではすぐに食べきってしまいます!笑

大好きな映画「リトルフォレスト」にも蕗味噌のシーンがあります。
お母さんがつくった蕗味噌を味見しながら「砂糖が足りないよぉ」とつぶやくシーン。
どれだけ砂糖を入れるのかは、どれほど苦みを生かしたいかの好みでバランスが決まります。
雪の中から蕗の薹を掘り出すシーンは、我が家との気候の違いを実感します。

マクロビオティックでは陰陽五行の考え方に基づいています。
五行では春は苦み。蕗の薹や山菜の苦みは冬の間に体に蓄積したものをデトックスするのを助けてくれるそうです。(だから大人になると、子供の頃に苦手だった苦みを美味しく感じられるようになるのですね)

その季節の旬の食材を大切に食べることが、シンプルながら理にかなった食養です。

季節を感じる。
自然を味わう。
毎日毎日繰り返される営みの中で、ついつい気忙しくて見過ごしてしまうこと。
二十四節気のような暦をほんの少し意識してみることで、ふわりと気づき、自ずとリセットできるような気がしています。

特に二十四節気をさらに細分化した七十二候は、花や鳥や自然現象から季節を読み取る昔からの知恵が詰まっています。

2020年より整備させてもらうことになった梅林。梅の花は七十二候によく登場します。

2020年は特に自然と暦、食べ物の旬をより注目して過ごしてみようと思います。