長野県の伝統工芸「松本箒」。
3年前、「米澤ほうき工房」米澤さんの「荒神箒づくり」WSに参加して、もう本当に楽しくて楽しくて。
以来、ずっと大切に使いながらも、いつか大きな箒が欲しいと憧れていました。
松本箒は150年の歴史をもつ伝統工芸でありながら、ついこの間までは暮らしの必需品として使われていたもの。
掃除機が一般的に普及して、需要もかなり減ったそう。
家業を継いだ三代目の米澤さんは私達と同世代で、サッカーのコーチもなさっているそうで、とてもスポーティないでたち。
伝統の技術を受け継ぎながらも、現代のライフスタイルに合ったデザインや販売方法で、現在は注文してから納品までは2年待ちの状態。
今回は出店準備などのお忙しい最中、「この日なら」ということで、実際に工房へ伺い、柄の材質やサイズ、糸の色や束の数まで細かくオーダーし、目の前で作成していただくという、何とも贅沢な機会をいただくことが実現しました!
箒の材料は「ホウキモロコシ」といわれるイネ科の植物。
米澤さんは自ら栽培しています。
もう今は箒として使えるホウキモロコシを生産してくれる農家さんがいないので、自ら栽培することになったそうです。
海外のものと国産のものでは「しなり」などが全然違うのだとか。
今年は天候不順で大打撃だったそうです。
保管してある倉庫も見せていただきました。
とても美しく束ねられ、箒になるのを待つホウキモロコシたち。
隣では米澤さんのお母様が荒神箒の制作。
興味津々で、ちょっと(かなり)興奮気味に矢継ぎ早に質問する私に、とても丁寧に答えていただきながらも、手はどんどんと箒を生み出して。
米澤さんも途中で何度も私達の希望を確認してくださり、完全に私達のための世界に一本しかない箒を手渡してくれました。
その時間、2時間にも満たない、あっという間の職人の技!
もっともっと見ていたかったな。
もっとお話を聞きたかった!
一見すると高価なものです。
でも大切に使えば何十年も現役で使えるもの。
そこには伝統の技と、種から栽培した愛情と、私達のためだけに作られた唯一無二の「作品」。
こういう物たちが暮らしを共にしてくれる豊かさ。
それはお金では計り知れない尊さが込められているのだと感じます。
工房には米澤さんのおじいさん、つまり初代が作った箒がかけられていました。
なんと毎日現役で使われているそうです。
「他の色んな箒も試しに使ってみるのだけど、やっぱりおじいさんの箒が一番なのよね」と米澤さんのお母様が言っていた言葉が心に残ります。
手渡された時。
ずっしりと重く、何かとても温かいものが手のひらに伝わりました。
(箒自体はとても軽いのです!)
この写真は宝物です!
これから日々、掃き掃除をする度に工房の光景と米澤さんの作る姿がまぶたに浮かぶのでしょう。
『米澤ほうき工房』
素晴らしいひとときを過ごさせていただきました。
本当にありがとうございました‼︎
(hana)