志村宏さんによる染めのWS《枇杷》染め@TOBICHI青山に参加してきました。
宏さんは、草木染めでは人間国宝として著名な志村ふくみさんのお孫さんにあたります。
普段は京都で活動なさっているのですが、「季節の草木染めWS」のために、京都で作った染料とともにTOBICHI青山までいらっしゃってくださるのです。
前回の春は《梅の枝》でした。
今回、この季節なら《藍の生葉》染めかなぁと予想していたのですが、なんと《枇杷》!
私自身、枇杷にはとても思い入れがあるので、とっても嬉しく、楽しみでした♪
シルクの楊柳というストールを染めます。
2人組で「せーの」とタイミングを合わせて染液に入れます。
先に染液に入った方へ色素が持っていかれてしまうからだそうです。
蛍光灯の光で見て、
自然光の下でさらに見て。
写真では写しきれない繊細な色の表れ。
媒染することでまた色の発色が変わって、本当にうっとりするやさしい枇杷色。
(今回の媒染剤は灰汁でした)
そして実際にお着物に織るための絹糸を染めました。
シルクの光沢はやはり特別に美しい!
これが全部、枇杷で染めた絹糸なんて♡
鉄媒染は黒っぽくなります。
媒染剤でこんなに色味が変わるのも、草木染めの楽しいところ。
宏さんが京都で「枇杷の葉茶」を作ってきてくれて、みんなでいただきました。
そして枇杷の実を食べて、種を鉢に植えてお土産に!
どこまでも枇杷に対する愛情に溢れて、「枇杷の魅力を伝えたい!」という宏さんの想いがひしひしと伝わってきました。
宏さんのお話を伺っていて、とても印象的なのは、植物や生きとし生けるもの達への愛情と敬意の念です。
草木染めを生業としているからこそ、植物に対する深い理解と愛情が心の底から湧いてくるのだなぁと、聞いているだけで胸が温かくなりました。
そして、
「色の世界には定まったものはない 自分で決める、そこで楽しむことが大切」
「よくこれは何色に染まるんですか?と聞かれるけど、枇杷色、ザクロ色と答えるようにしている」
「自分ルールを、失敗しながらつくりあげて欲しい」
という言葉が強くメッセージとして心に残りました。
私は、どうしても唯一絶対の「正解」があって、それに最短で、効率良くたどり着きたいという思い癖があるようです。
「失敗したくない」という気持ちが強すぎるのです。
「先生」の教えてくれることが「答え」のように受け取ってしまうのです。
宏さんが教えるアルスシムラでは、教科書がないそうです。
教科書があると、それが唯一絶対になってしまって、個々人の感じ方がなくなってしまうからだそうです。
「草木からいただく色に良し悪しはない」というひと言にハッとするほど大切なことを気づかせていただきました。
草木染めはただ染める行為も楽しく、奥深いですが、それを通して自然との向き合い方や、生命の在り方までも感じさせてくれます。
今回のWSでも、今の私にとって必要な、大切なことを教えてくれました。
それにしても枇杷の色は美しいなぁ〜♪