暮らしの手しごとの会〈泥藍染め2022〉ありがとうございました!

2022年の暮らしの手しごとの会〈泥藍染め〉が全日程を終了しました。

ご参加いただいたみなさん、本当にありがとうございました!

どの会も本当に心に残る会となり、
毎回たくさんの笑顔と作品を見せていただき、
また一日を通してたくさんのお話しを交わすことができて、
私達もたくさんの元気と希望をいただきました!

8月の藍の生葉染めの空色から、
10月は泥藍染めの青色へ。
深い深い海の色のような、吸い込まれるように魅せられる藍の色が現れました。

生葉染めとはいろんな点で対照的な泥藍染めの手法ですが、
参加者のみなさんの感受性がとても豊かで、
ご案内している私の方が学ぶことがたくさんありました。
染めている時、洗っている時のひとつひとつの手の仕草から、藍をとても大切に感じてくださっているのが伝わってきて、とても嬉しかったです!

生葉染めとの一番の違いは、藍の葉の実物に触れることがなく、染料をつくる工程もないところです。

ですので、藍の育つ過程と、染料づくりの過程を写真をお見せしながら丁寧にお話しさせていただきました。

みなさん、とても真剣に耳を傾けてくださいました。聞いてくださって本当に嬉しかったです。ありがとうございました!
我が家で育った藍の花をドライにして持参し、実物の藍を見ていただくことができました。

また、事前にLINEグループを作成させていただき、染めるもののご案内を丁寧にさせていただきました。

それは、ご自身が毎日「使うもの」を染めていただきたかったから。

染めた当日が楽しいのはもちろん、染めた翌日から使いながら、より喜びが増したり、愛着の気持ちが深まるように。

今夏染めた生葉染めの衣に重ね着できるように、お手製のワンピースを仕立てて染めてくださいました。
手縫いで貫頭衣を仕立てて染めてくださった方も。貫頭衣ってシンプルだけど、端切れを出さないので、本当によく考えられている衣です。

我が家の藍の生葉染めで染めたワンピースを、今年は泥藍染めで藍返しされた方もいました。

藍には染めた繊維を強くするという効能もあります。

繰り返し使い、繰り返し洗い、ゆっくりと色あいも移ろい、また藍を重ね染めて、気兼ねなく使う…日々の暮らしに溶け込む、そんなところが、きっと藍染めが長く愛され、重宝された理由のひとつなのだろうと実感しました。

今回の泥藍染めの会に向けて、我が家でご用意(販売)した染めるものは、この数年私が染めて、毎日のように使い、本当に気に入ったおススメの素材です。

その中の何種類かは、私が生地を裁断し、精錬し、フリンジの調整には縦糸と横糸を一本一本抜いています。

生地を購入する際には、担当の方から生地の生産地や織る技術のことなどを伺いました。
このご時世で値上げも苦渋の決断とお聞きしました。
畑で育つ植物性繊維が、どれほど自然環境の影響を受け、
繊維にし、布に織るまでの手間暇については、
私達も和棉栽培の糸紡ぎで垣間見た経験があるので、本当に有り難く、大切に大切にしたいと思いを新たにしました。

会の当日にはスケジュールの進行上、そんなお話しをすることは叶いませんでしたが、
染めるものをワクワクと探したり、何度も藍返ししたり、ご自身でお手製のものを染めてくださったプロセス全てで、きっと同じようなことを感じられたかもしれませんね。

「身土不二」自分が暮らす足元の土や植物を大切に思い、
染料の素材を身近なところから必要な分だけ求め、
手と身体を働かせることで、そのプロセスを自分事として味わい、
湧き上がるように感じられる愛着の気持ち「いとおしさ」をもって、
染めたものを、自分の暮らしを、そこにつながるたくさんのお蔭様を、大切にすること。
泥藍染めを通して、そんなことをお伝えし、感じていただけたなら、これ程嬉しいことはありません。
そんな思いを込めて、「暮らしの手しごとの会」というカテゴリーで開催してきました。

会の開催期間中に満開を迎えた藍の花も、全日程が終了した今は種採りする部分を残して全て片付け、また来年の土づくりに向けて静かに土に還る時を迎えています。

⁡暑さと臭いと体力勝負の泥藍の染料づくりは、年々「もう来年は無理かもなぁ」と弱音をこぼしたりするのですが、
力強く育ってくれた藍と、一番の地味な力仕事を担ってくれた夫に背中を押され、
「また来年も楽しみにしています!」と喜んでくださるみなさんの笑顔を思いながら作業することができました。

ご参加くださったみなさん
藍と畑とお天道さま
ご縁をつないでくれたすべてのお蔭様
本当にありがとうございました!!

 

photo by Yasuyuki Hirose
たくさんの笑顔とその日の和やかな雰囲気を写し撮ってくれました。