きせつをたべる台所〈夏至編〉

2020年の夏至の日は6/21でした。写真はこの日の夕暮れ。一年で一番陽が長い日。一日中曇っていましたが、夕暮れ時には空がピンク色に染まりました。

そしてなんといってもこの日は新月で、なおかつ部分日食となる特別感に溢れる一日でした!残念ながら曇っていたので部分日食を見ることは叶いませんでしたので、天体アプリで新月の宇宙空間配置を記録しておきました。あ~、観たかったなぁ!!

畑では、なんとか梅しごとのバタバタ感が一段落したと思ったら、玉ねぎの収穫時期を迎えていました。今年は3回ほどに分けて収穫、乾燥、縛って吊るすを繰り返しました。

小屋の軒下に吊るした玉ねぎ。ずっと眺めていたい大好きな光景です。無事に収穫できた安堵感と感謝と、一年間分の食べものを手にした充足感は何にも代え難い幸せです。

そして、梅雨入りしてから成長著しい草たちと追いかけっこするように毎日どこかの草刈りを。

ジャガイモが植わっていますが、どこにあるか見えますか?(笑)苧麻がどんどん伸びます。
青大豆のメイン畑。畑の周囲の草を刈り、畑部分の草はあえて生やして、刈り取り、枯らしてから土に漉き込みます。青大豆を蒔く前の準備段階です。
梅畑の草刈り。梅の実の収穫後、まだ剪定をしていないため、低く垂れ下がる枝を避けながら、雨で濡れた草で滑らないように気を付けながら、無駄のない動きで刈り進めています。
刈払機が入らないところは、鎌で手刈り。刈り取った草は草boxに集めて堆肥にします。

田んぼでは二度目の除草期間でもありました。

このタイミングでは田車は使わず、素手でヒエを抜いていきます。同じイネ科なので稲とヒエは本当にそっくりです。

田んぼの中に入ると、オタマジャクシがぷるぷるとたくさんいて、それを食べるヤゴ(トンボの子供)がたくさんいて、命の攻防の跡が見られました。またある日にはつがいの鴨が来ていて、オタマジャクシを泳ぎながらすくって食べている光景も見られました。たくさんの小さな命たちの棲家となっている田んぼには、健全な食物連鎖がありました。その光景は不思議な安心感と嬉しさに満ちていました。

私たちは全ての作物を無農薬で栽培し、一切の除草剤も使用しません。

農薬も除草剤を使用しないということは、その代りに手作業で虫を取り除いたり、草刈りをするということです。その労力をかけてでも農薬などを使用しない私たちの信念があります。

そして農薬も除草剤も使用しないからこそ、益虫も害虫も混在して、健全な食物連鎖のつながりの中で絶妙なバランスを保ちます。鴨やオタマジャクシなどのたくさんの生き物が居てくれることは、多くの命にとって安心できる田畑である証明なのではないでしょうか。

夏越の祓。6月30日に神社に設置された茅の輪をくぐり、半年の穢れを払います。今年は少し足を延ばした浅間神社にて。ここ数年は季節の恒例行事にしています。

夏至の頃は陽が長く、暗くなるまで畑作業をしていると毎日が本当にクタクタで、身体に蓄積した疲労から、心も知らず知らずのうちに余裕がなくなります。

穢れとは「氣の枯れ」だそうですから、本当に昔からの風習はよくタイミングを心得ているのだなぁと実感します。

2020年の上半期は新型コロナウィルスによるコロナ禍にあり、自覚している以上の不安や緊張感が心身に蓄積しているように感じます。

夏越の祓え、とても良かったです。どうか下半期も健やかに過ごせますように!

5月のGWに定植した果菜類もなんとか定着し、蜜蜂たちが受粉をせっせとしてくれたおかげで、胡瓜が大変な豊作になりました。

オンラインショップでの夏野菜セットに向けての作付だったのですが、胡瓜のスタートダッシュ凄まじく、他の果菜類をはるかにぶっち切っての豊作のため、嬉しいやら困るやら…複雑な気持ちでした。

胡瓜の大量消費レシピといえば「Qちゃん漬け」。一度に15本くらいを日に2回も作る日もあったくらい、連日Qちゃん漬けを仕込みました(汗)(それでも消費が追い付かず、大切に育てたのにも関わらず「廃棄」することがあり、泣く泣く胸が痛い日々でした)

<材料>
□胡瓜 1.5㎏ □塩 大さじ1 □生姜 千切り2かけ □赤唐辛子(種除く)輪切り2本分 □醤油 80cc □酢 30cc □みりん 80cc

<手順>
①胡瓜を7~8㎜の輪切りにして、塩して2~3時間置いた後、水気をしっかり絞る。
②醤油、みりん、酢を沸騰させたら、胡瓜、生姜、赤唐辛子を入れる。
③必ず強火で、水分がなくなるまで煮切る。
④胡瓜を取り出し、バットなどに広げて冷ますと、予熱で柔らかくなるのを防げ、歯ごたえが残る。

※清潔な保存容器に入れ、冷蔵庫で2週間ほど保存可能。より保存を重視したい時は醤油を100ccくらいに増やしても可。

Qちゃん漬けはたくさんのレシピがありますね。胡瓜を丸ごと熱湯に入れて下処理するレシピを先日教えてもらいました。少しずついろんなレシピを試して、自分なりの美味しいレシピが出来ますように♪

今年は大豊作だったからか(というより作付を増やしただけですが)、連日生の胡瓜に自家製味噌をつけて食べる日が続きました。ふと体感として「冷えたなぁ」と感じる日がありました。胡瓜は生で食べると身体を冷し、緩める作用があるようです。Qちゃん漬けのようにしっかりと加熱することで陰陽のバランスがとれるでしょうか。

6月末のある日。鮮やかに手が届きそうな虹が現われました。
ひだまり暮らしも「感染予防対策(ガイドライン)」を明示・実践しながら、農的暮らし体験会などを小さく再開した頃でした。
手探りと試行錯誤と、受け入れに際しての心構えと覚悟と、毎日毎日二人で話し合いを重ね、受け入れるイベントの主催者の方とも何度も何度もミーティングを重ねました。
それだけの対策をしてもなお開催の意義があると、真摯に、謙虚に確信を深めました。
そんな時に眺めたこの虹は「希望」そのものでした。どこか「大丈夫だよ」と背中を押してくれたようにさえ感じられました。

新月で部分日食という、宇宙規模での特別な空気感でスタートした夏至の候。
「Think global , Act local 地球規模で考え、足元から行動する」そんな言葉がいつも頭と心にあった期間でした。