2019年10月台風19号の教訓

2019年10月12日(土)に関東から東日本にかなりの大型台風19号が上陸しました。

私たちひだまり暮らしの二人は近所の避難場所へ避難をするという、命を守たるための行動を初めて経験しました。

台風は地震と違って、前もって備えることができ、被害を最小限に食い止めるための準備することができる自然災害です。

今回、家や家まわりの備え、避難場所へ持参する非常袋の中身など、事前に調べながら準備する中で、先月の台風15号の時の記録や経験談、その他これまでの経験をまとめた記事やブログなどを拝見し、とても参考になりました。

人の記憶は本当に薄れやすく、強烈な体験だったとしても少しずつ忘れてゆくことで、日常の暮らしを前進させ、営みを絶やすことなく暮らしていきます。

それでも「教訓」として、活かしていきたい体験は今後の自分自身や、また必要としてくれるどなたかのお役に立てるよう、今回の経験を記録しておこうと思います。

【避難の際に持参したもの】■使用したもの □使用しなかったもの
①旅行鞄に詰めたもの
■歯ブラシ □ウエットティッシュ □トイレットペーパー □ポケットティッシュ(たくさん)□マスク □絆創膏 □スマホ充電用バッテリー ■スマホ充電用ケーブル □カイロ □新聞紙 □マッチ □軍手 ■スリッパ □通帳と印鑑 □現金 □小銭(10円玉、100円玉)□着替え2日分 ■寝袋 □防寒着 ■タオル □乾電池(単3、単4) □懐中電灯

※この避難場所に避難している人がかなり少数だったため、中学校体育館のコンセントを使用させてもらえた。フリーWi-Fiは無し。

※今回は体育館のマットと毛布を貸していただけたけれど、寝袋だけでは寝づらく、避難が長期化した場合は寝不足やストレスになるかもしれない。

②丈夫な手提げバッグに入れたもの
□白米(5㎏くらい) □お味噌(3㎏くらい) □梅干し □水出し麦茶(4ℓ) ■塩味のお煎餅 ■おにぎり □チョコレート □サランラップ

※お米は避難が長引いて、炊き出しが始まったら使ってもらえるように。我が家は籾付きでお米を保管しているため、台風の進路から予想して、もっと精米して備えておくとよかった。

※避難指示の地域放送で「着替えや食料、常備薬は各自で持参してください」とあったため、おにぎりと麦茶を持参。避難場所でも備蓄している食料をいただけるけど、自分で持参できれば他に必要としている方へ食料などはまわせる。

※甘いものよりもしょっぱいものを食べたい感覚があった。ストレスが続くと甘いものが欲しくなるかもしれない。

③買い物かごに入れたもの(冒頭の写真)
□カセットコンロ □カセットボンベ2本 □片手鍋 □電池式のライト2つ

※避難場所へ車で移動していいのかわからなかったけど、ひとまず車で向かうために③は持参できた。移動時には大雨だったため、徒歩での避難だったら③は持参できなかったと思う。

※非常持ち出し袋は全く用意していなかったので、この日にネットで調べながら用意したもの。今後、もう少しちゃんと備えておこうと思う。子供がいる家庭、お年寄りがいる家庭など、家族構成によっても持参するものは違ってくる。

【避難場所で感じたこと】
※スマホを充電させてもらえたので、かなりネットやSNSで情報収集をした。特にFacebookでは近所の方からの投稿で川の増水状況や避難場所の状況、土砂崩れの状況などがわかった。避難場所にテレビやラジオは今回は設置されていなかった。

※家や畑がとても心配で、かなり不安が募っていた。そのためスマホで情報収集する以外は何も手につかない精神状態。本を持参していたが全く読む気分になれなかった。編み物や刺し子など、ただ黙々と手を動かすことができる単純作業などができれば気が紛れるかも。子供がいる場合はオセロなどのコンパクトなボードゲームがあると精神的な負荷を軽減することができるかもしれない。

※暑くもなく、寒くもない季節だったのは幸いだった。停電した場合の暑さ対策、防寒対策は本当に必要。

インスタグラムに投稿した写真

※避難して落ち着いたら、避難をした旨と避難場所をSNSに投稿した。もし停電があった場合はスマホは極力バッテリーを消費しないモード(機内モードやアプリのOFFなど)に変え、安否確認のためのやり取りは最小限にした方がいいと考え、早目の安否情報を発信しておいた。→「いいね」だけで、コメントは控えてくれたお友達が多く、バッテリー温存の意味をわかってくれてることが伝わった。感謝!

 この

【避難するまでの経緯】
上の写真のように、山梨県甲州市では二度の緊急速報メールが入りました。

2度目の15:30は、「避難指示」の地域放送とほぼ同時でした。この直後に私の父と、この地域をよく知る知り合いから立て続けに電話が入り、「避難した方がいい」というアドバイスをいただきました。

うちは2本の小さな川にはさまれる場所で、避難場所はそれぞれの川を越えていかないと避難することができません。
ハザードマップでは土砂崩れなどのはほとんどないことは入居時には確認済みでした。(平時にハザードマップを確認しておくことは大切)
どちらかというと避難場所の方が川に近いために、自宅待機した方が安全だと判断していました。

うちでは雨の降り方が断続的で、予報よりは降水量が多くなく、小雨のタイミングで川の水量を確認したところ、雨量にしては増水が大きく、土石流などで橋が倒壊したら避難することができなくなると判断し、避難することを決心しました。
また大雨の後の夜にかけて暴風がくる予報だったので、暗くなる前で風が強くなる前に移動したほうが安全だと判断しました。

15:30に緊急速報メールが届いてから、避難場所へ到着する17:00まで約1時間半が経過。
持参するものは朝から玄関先に準備しておいたとはいえ、避難するまでの1時間半は速やかだったのか、遅かったのか?

一番大きかったのは大切な家と畑を「離れる」ということは、ある意味「何があったとしても仕方ない」と諦めるということ。これは本当に身を切られるように辛く、どこまでも判断は躊躇われました。この躊躇する時間が判断を鈍らせ、避難を遅らせることを痛感しました。

情報収集ためのテレビでどんなに「命を守るための行動を速やかに始めてください!!」と連呼されても、どこか根拠のない「自分は大丈夫だろう」と他人事であったり、避難をできればしたくない、ギリギリまで自宅に留まりたい心理を体験しました。

そのような状況で、どこまで冷静に、速やかに、適切な判断が下せるのか?それが今回一番痛感したことです。

私たちは仕事柄、1日のうちに何度も天気予報をチェックしています。そのため天気図の読み取り、天気予報と実際のズレ、自宅周辺の局地的な気象(雨の降り方、風の吹き方、観天望気など)などを自分達で判断することが習慣となっています。情報に惑わされず自分たちで判断することは、こういう日常の積み重ねが役に立っていたように感じます。

※うちはペットを飼っていませんが、避難場所によってはペットの「同行避難」もできないそうです。(「同行避難」と「同伴避難」の違いについて)ペットを飼っている方は事前に避難場所をよく調べたり、避難訓練・準備をしておくことが本当に大切だと思います。避難の判断を躊躇し、避難が手遅れになる大きな要因だと感じました。

※「避難勧告」「避難指示」など、正確に知っておくことも大切だと感じました。今回のように自宅にいる方が安全な場合は、「避難指示」が出たとしても「避難しない」という判断をしていいのです。心配して連絡をくれる家族や友人に、きちんと理由も含めてそのことを伝え、要らない心配やストレスが生まれないようにすることも大切だと感じました。

※避難をする判断と同様に、避難場所から自宅へ帰宅する判断も各自に任せられています。避難場所を運営する方から「帰宅しても大丈夫ですよ」というアナウンスはありません。一刻も早く自宅などの安否を確認したいと気持ちがはやるのは当然。風雨がおさまったからといっても、土砂崩れなどは発生までタイムラグがあります。帰宅するタイミングの判断も難しいと今回感じました。

帰宅して無事を確認した家と畑と地域周辺。 あの時心から安堵して見上げた明け方の空はきっとずっと忘れられないでしょう。

【備忘録を兼ねて】
※電池式手回し充電式ラジオを今後購入します。停電が長引いた際のスマホの充電対策は必須。またスマホ以外の情報収集のためにもラジオはあった方がいい。

※自分で自覚していた以上に帰宅後、数日後に疲れが出ました。緊張がほどけてから、心身には様々な症状が出ました。より被害が大きかった地域の報道をいつまでも、繰り返し観続けることも精神的なストレスになるので、意図的に情報から離れるタイミングも大事です。

「惨事ストレス」という症状があることを知って、少し気が楽になりました。(私の友人が記事を投稿してくれました。ありがとう!)責任感や正義感、「自分ばかり助かって」のような罪悪感、災害時に他者や社会に貢献するお仕事の方などは是非知っておくだけで軽減できるものがあると思います。

※事前にSNSなどで割れた窓ガラスの飛散防止として養生テープが有効だとの情報があり、土曜日夜からの暴風に備えて、金曜の夕方にホームセンターに行きましたが、3軒のホームセンター全て完売状態でした。雨戸がない場合はカーテンや段ボール、クッション材のプチプチなどで対応しました。

※土砂崩れによる中央線の運休は約1週間に及び、国道20号の通行止めも同じくらい続きました。物流が途絶え、スーパーなど品揃えが滞ることも考えられます。今回は2日後にはスーパーは正常化していました。前日に車のガソリンは満タンにしておきました。

※我が家には1年分のお米と味噌と梅干しがあります。また薪ストーブのため薪を常備してあるため、停電によって電気とガスが止まっても直火での調理が可能です。マクロビオティックを実践しているため豆や乾物などの日常食がそのまま非常食として使えることも精神的な安心感に大きくつながりました。

「00000Japan」という災害時に使えるようになるフリーWi-Fiというのがあることを初めて知りました。スマホでの情報収集時には有効ですが、安全性は低いのでネットバンキングなどの個人情報流出には注意が必要だそうです。

 

今回の台風19号は「50年に一度」ともいわれるくらいのスーパー大型台風だったようです。ですが、これからの時代はこの規模の台風は頻繁に発生する可能性も高いでしょう。

たくさんの経験が教訓としてシェアされ、その積み重ねが大切な命を守る具体的な行動につながりますように。