毎年12月30日は餅つきの日です。
前日からもち米を洗って、浸水しておきます。合計で3升5合。
杵と臼も洗って、水で湿らせておきます。木が水を含んで、隙間が埋まるのだとか。
ちゃんと臼の下には藁を敷いて保護します。(藁は私たちの田んぼから)
餅つきの時の衝撃で臼を傷つけないための知恵です。
こんなところに、物を大切に長く使うための心遣いを感じます。
当日は朝早くから竈に火がつき、もち米を蒸します。
主人のおばあちゃんが日々の煮炊きにつかっていた、そして今も現役の竈です。
薪を燃やした熱は、やっぱりガスコンロの熱とは全然違います。
まず最初についたお餅は「臼払い」といって、神様ではなく私達がいただきます。
こんなところにも神様へ捧げる「ハレ」のための慣習があります。
まずはのし餅に。
熱いお餅を素早く、美しく伸ばしていくのはなかなか難しい!
そして二臼目は「おすわり」をつくります。
「おすわり」とは鏡餅のこと。
3段重ねを2個、2段重ねを合計13個つくりました。
すべて家の中の様々な神様にお供えします。
おすわりをつくった残りは、餡ころもちなどにして私達がいただきます。
つきたてのお餅をちぎって、つけこをまぶして。途中にパクッとつまみ食いするのは、お餅つきをするときの一番の楽しみです♪
餡子は私達の畑のその年に採れた小豆を煮ます。
あまりに美味しくて、餡子だけつまみ食いしていたら、肝心のお餅にまぶすときに足りなくなってしまいました。
三臼目は「なまこ餅」を4本つくりました。青海苔とくるみ。
毎年、お餅つきと同時進行で義父は「人形甚平さん」と「門松」の準備をします。
「人形甚平さん」はお守りのようなもので、神様やお仏壇、家中の出入り口に貼ります。
ホームセンターで売っているものだけど、義父は丁寧にカッターで切り抜きます。
4人つながりはこうして貼ります。
1人バージョンは門松にもつけます。うちは松がないので南天の大きな枝で門松にします。全て手作りで、歳神様をお迎えするための準備をします。
今年は私達夫婦二人で三臼のお餅をつき、のし餅からおすわり、なまこ餅まで全部成形しました。
義父母の手を借りずに二人でやったのは今年が初めてです。
こうして少しずつ少しずつ親から子へ、その家の慣習が受け継がれていくのだなぁと、しみじみと実感しました。
(私も「返し」担当としてずいぶんと上達しましたよ~♪二人でついているので、餅つきの写真がないのです)
お餅つきは単なるイベントではなく、神様に供えるための「ハレ」の年中行事です。
その年が無事に過ごせたことへの感謝と、新たな年への希望と祈りが込められています。
ハレのときの特別な、背筋が伸びるような昂揚感が、きっと大人も子供も嬉しく、賑やかに楽しい気持ちにさせるのでしょう。
それでも、ただ楽しいだけではないハレの年中行事の意味も、大切につないで伝えていきたいと思います。
義母としみじみ「今年もこうしてお餅つきができて、有難いねー」と語り交わしました。
毎年毎年、こうして変わらずお餅つきができることに感謝。
新たな年も家族が健康で笑顔で過ごせますように。