農的暮らしの台所と食

「奥津典子の台所の学校」は、
私のバイブルで、折にふれて手にとります。
毎日のご飯づくりを、季節の変わり目で点検するようにページをめくっています。
「食べるものは、元はすべて命だから」と奥津さんは繰り返し語ります。

⁡「お味噌知る」は土井善晴さんの最新書。
娘さんとの初の共著だそうです。
あとがきにある土井光さんのワンフレーズにしびれます。
表紙がお味噌の色っていうのも良いですよね。

奥津 典子さんと土井善晴さん
お二人が何より大切に提案されているのが、お味噌汁を作って、食べること。
「ちゃんとしたお味噌汁(御御御付け)」奥津典子さん
「どうぞ味噌汁を信じてください」土井善晴さん

本当に「ちゃんとした」お味噌があって、
旬の素材でお味噌汁を作れば、
毎日の食卓はなんだか安心感があります。
自分の健康の土台がどっしりしてくる感じ。

「ちゃんとした」の定義は人それぞれかもしれません。
大豆や麹などの成分や添加物の有無、製造法など。
それに加えて、私は「お味噌が元は土が育んだ命であったことを感じられる」ことを大事にしたいです。
お味噌の樽を楽しみに開封し、お味噌汁を作って食べる時、きっと青大豆の命の物語や仕込んだ時の思い、光景も一緒に味わっているのだと感じるのです。

お二人の言葉には、日々良いこともしんどいことも、うまくいかない時も、
「そんな時もあっていいんですよ。また小さく始めていけばいいんです」と寄り添い、励まし、背中をそっと押してくれる温もりがあります。
自分の身体という「自然」のありのままを、ちゃんと受け止めて、信じてあげていいのだと応援してくれるのです。

そして、お二人は著書の締めくくりに、今の自然環境への危機感と、地球の未来のことが心配だと触れています。
私達が日々、季節を通して畑で感じている危機感と同じです。
だからこそ、畑とつながる台所を、誰にとっても一番身近な「食べる」という行いを大事に捉えて、ささやかであっても実践を積み重ねることに、希望を感じさせてくれるのです。


お二人は、お米の大切さ、大豆の大切さにも触れています。
「稲と大豆」というタイトル(「お味噌知る」より)が目に入った瞬間に「あぁ、やっぱりそうなんだ!」と涙が出てしまいそうでした。

そして!私、気づいちゃったんです!
お二人がいつも藍色の布を身につけていること。
藍の魅力を分かち合っているようですごく嬉しいです。


さぁ、今日もお味噌汁を作りましょう!
そして楽しくて美味しい手前味噌を、今シーズンも一緒に仕込みましょう😋

*トップ写真にあるのは我が家の今年の稲と青大豆。そして泥藍で染めた藍の布。