暮らしの手しごとの草木染め《桃》

初めて「草木染め」を一人でやってみました。

今回、染料として使ったのは桃の枝。

昨年、剪定したのを薪としていただいたもの。

先日、見学した染めワークショップでは梅の枝を染料としていました。

桃も梅と同じバラ科。

そして山梨は桃の産地!

冬の間にたくさんの剪定した枝がでます。

それを有効利用できたらいいなぁと思うのです。

煮出すのは庭に薪ストーブを出して、庭の片付けで出た剪定枝を薪として使いました。

まずは布の精錬。

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新しい布でも織る過程で油がついたり、白くても糊や汚れが繊維の中まであるそうです。

中性洗剤を入れて、1時間の煮洗い。

そして、よーく水ですすぎ洗い。

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布の種類で、何度水を替えても濁りが出てくるものもありました。

やっぱり汚れているんだなぁと実感。

乾いたら、豆乳処理。

植物性繊維は染まりにくいので、布にタンパク質を染み込ませます。

ここまでが下処理。

はぁ〜、手間がかかる‼︎

どんなことでも準備が大切。

こういう水面下の見えない部分を疎かにすると、目に見える「仕上がり」が美しくないのですね。

畑の土作りなどに通じるものがあります。

さて、染液づくり。

桃の枝を細かくして、煮出しました。

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沸騰しない程度の温度で約1時間。

ガスコンロで、この量を1時間も煮るのはガス代が怖いかも(笑)

同じ枝で、もう一度煮出して(やっぱり1時間!)、2回分の染液を合わせました。

染液はとても濃いオレンジ色でした。

先日見学した時の梅とかなり近い色になっていました。

さぁ、染めます!

今回はオーガニックコットンのストールにしました。

豆乳処理までしたものを水に浸して、染料がよく染みるようにして、そっと染液の中へ。

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沸騰しない程度の温度で約30分。

こまめに染液の中で泳がせて、ムラにならないように。

次は媒染。

今回はミョウバンを使いました。

よく浸して30分間。

一度の染めでは色が薄いので、染液→媒染をもう一度繰り返し、最後に染液の中に一晩浸けておきました。

やっぱり綿はそれだけ染まりにくいので、時間も手間もかかりました。

翌朝、染液からあげて、何度も水ですすぎ、乾かして、完成ーー!

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仕上がりはピンク色ではなく、やさしいたまご色になりました♡

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初めて自分で染めたストールはとてもとても嬉しい色をしています。

春らしいピンク色を期待していたけど、期待通りにならないのもまた楽しい。

草木という自然を相手に色をいただく染めは、私のちっぽけな期待や思惑は超えたところに、本当の楽しみがあるのでしょう。

3日間に渡った染めの工程。

とても手間がかかったけれど、家事や仕事の合間にお世話していました。

「暮らしの手しごと」というのは、暮らしの中の一部分として溶け込むもの。

昔の人はきっとかまどでご飯を炊いたりする傍らで染めていたのかもしれません。

今回はしぼりなどの模様はつけませんでした。

なぜかな?

少しでもたくさん桃の色を布にいただきたかったのかもしれません。

(欲張りだなぁ〜(笑))

家事や仕事の合間に染めていたので、あまり手が回らなかったのかもしれません。

模様が現れる時の「わぁ〜♡」という高揚感はなかったけれど、染め上がったストールを眺める静かな喜びと、桃に対する感謝の気持ちがありました。

もしかしたら、染めにも「ハレ」と「ケ」があって、暮らしの手しごととしての染めは「ケ」の染めで、料理をするように日常の中にあるものなのかもしれません。

きっと昔の人は絹よりも木綿を染めていたのではないかな。

染まりにくい木綿を日常の、台所にあるようなものを使って濃く染まるように工夫して、何度も洗って自然に退色したら、また重ね染めて。

そうやって長く、大切に、愛着を感じながら布を使っていたのでしょう。

自然の恵みを食事としていただく料理は、身体の中に自然のエネルギーが届きます。

染めは、もともとが植物を漢方薬のようにして傷の手当などに使ったところから発祥し、自然のエネルギーを身体の外側に纏うもので、そこには自然に対する畏敬の念や感謝や祈りなどが込められていたのかもしれません。

まだまだ始まったばかりの暮らしの手しごと。

これから少しずつ、季節の色をいただく「練習」をしていこうと思います。

次は何で染めようかなぁ〜♪

(hana)